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カナヘビ飼育ブログ

ガラスや窓越しの室内日光浴に意味はある?カナヘビに必要な紫外線

最終更新日:2023/06/05 カテゴリー:カナヘビの育て方
紫外線ライト(UVBライト)

カナヘビを飼うにはビタミンD3生成のための紫外線が欠かせず、室内で飼育する際には人工的な紫外線が必要になります。
こちらのカナヘビを飼育するのに必要なものとお金についてでもご紹介しましたように、紫外線を発生させるためにはUVBライト(紫外線ライト)を使用するわけですが、「どれくらいの紫外線が必要なのか?」「どれくらいの時間照射すればよいのか?」このあたりのことが調べられなかったので、自分なりに調べてみることにしました。

自然界での紫外線量は?

まず初めに、太陽光における紫外線量がどれくらいなのかを調べてみました。
自然界に降り注ぐ紫外線量は、その日の天気や雲の有無、時間、また湿度や構造物のあり・なしで大きく変化するようで、場所だけでなく環境でも大きく変化してしまうそうです。
このため具体的な数値を設定することは難しいのですが、うちの庭で生きていたカナヘビと環境が近いであろう住宅地の実験データを見てみてると『500μW/cm2』から『1000μW/cm2』が平均的なのではないかと推測できました。

一方、爬虫類用UVBランプであるレプタイルUVB100 13Wは、照射距離が10cmの場合『630μW/cm2』とかなり高い数値になりますが、20cmになると半減以下の『210μW/cm2』、30cmだと『90μW/cm2』まで下がることがパッケージに明記されています。
レプタイルUVB100
ケージ内における飼育であることを考えると、10cmで照射するのはライトやシェードにカナヘビの足が届いてしまう可能性があるため、現実的には不可能だと考えられます。
しかし30cmだと効果が低すぎるので、20cmの照射距離になることを想定して、レプタイルUVB100を使用した際の紫外線量は210μW/cm2程度と仮定します。

この前提をもとに考えると、レプタイルUVB100の紫外線量は太陽光線の約1/3となり、野生のカナヘビが1日1時間の日光浴をしていると仮定すると、UVB100を20cmの距離で使用した場合は、最低でも約3時間の照射が必要という計算になります。
ただ、紫外線ライト点灯中にカナヘビが必ず20cmの距離にいるとは限らないので、照射時間は約2倍は必要になると思います。
スタンドライトで照射距離を近づける
上記の写真では、スタンドライトを使ってケージ内にライトを入れ、照射距離を近くしている様子です。

また照射する時間帯はカナヘビの体内時計を狂わせないためにも、基本的には屋外と同じように9時~15時の間で点灯させることが良いかと思います。
仕事中でライトを付けたり消したりできないという方は、タイマーを利用すると良いでしょう。

紫外線の波長について

次に紫外線の種類(波長の長さ)であるUVAUVBについても調べてみました。
地上にはUVAとUVBという紫外線が降り注いでいて、UVCは存在しません。
レプタイルUVB100からはUVAもUVBも照射されていますが、このうち約84%がUVA、残りの約16%がUVBとなるそうです。
一方、太陽光は90%以上がUVAとなります。
比率的には自然な紫外線と大差はないので、波長について心配する必要は無いようです。

ガラス越しの日光浴の効果は?

次にガラス越しの日光浴についてです。
ガラスメーカーなどが発表している性能表などを確認すると、厚さ3mmのガラスではUVAは80%ほど透過(20%減)するものの、UVBは僅かに透過する程度(5%以下)となり、カナヘビのことを考えると圧倒的に紫外線量が不足します。
さらに、最近の住宅で採用されている厚さ3mmの『ペアガラス』になると99%以上の紫外線がカットされ、UVA・UVB共に、ほぼ完全にカットされるそうです。
このことから、住宅用のガラスでは紫外線を透過させないことが分かり、いくら日が当たっていたとしても屋内の日光浴では意味がないと考えておいたほうが良さそうです。

つまり屋外飼育でない限りはUVBライトは必須ということになります。
普段から日光浴させているのにカナヘビの体調が悪かったり、寝てばかりいる、または餌を食べないという場合は、日光浴をしているつもりでも紫外線が足りておらず、紫外線不足になっているのかもしれません。

日光浴のさせ方

カナヘビを太陽光で日光浴をさせる場合は、上記でも述べたように直接紫外線があたる環境にしなくてはなりません。
つまりケージを外に出し、ガラスの蓋なども付けないということになります。
また時間帯も大切で、太陽の位置が低いとゲージ側面のプラスチックが紫外線をカットしてしまうので、季節にもよりますが太陽光が真上から降り注ぐように11時~13時の間で日光浴させる必要があります。
(真夏の場合は数分でゲージ内温度が50度を超えてしまうので、30度を超す気温の日は日光浴を避けるか、そばにいて監視するようにしてください。)

さらにケージそのものを外に出す場合は、鳥による攻撃を避けるために防虫ネットを掛けておいたり、虫を侵入させないためにラップを張ったり(穴を開けておく)などの工夫も必要と考えられます。
試しに防虫ネットを張って屋外に出してみました。
ケージを屋外に出して日光浴
カナヘビには良いのかもしれませんが、飼育者としてケージの移動やネットの設置は結構面倒でした…。
あまりオススメはできないです…。

「どうしても窓際でしか日光浴させられない」という場合には、紫外線を遮らないように窓を開けて行うか、最低でも網戸越しで行うようにしたほうが良いと思います。

普段何気なく浴びている太陽光や紫外線ですが、調べてみると色々なことが知れて為になりました。
飼育環境や使用しているケージなどで条件は色々と変わると思いますが、紫外線をしっかりと当てれるように、日光浴の際には参考にしていただければと思います。

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