カナヘビの卵が孵化しない!?カナヘビの赤ちゃんが生まれるまで
メスカナヘビが卵を産んだとき、私は「適切に管理すれば、普通に卵から生まれてくるだろう」と、比較的楽観していました。
しかし、実際は全くそんなことはありませんでした。
今回は、私が実際にカナヘビの卵を孵化させ、分かったこと・気づいたことをご紹介していきたいと思います。
カナヘビの卵の保管方法
まずは、メスカナヘビが生んだ卵の保管方法から。
卵は全部で5つ生まれたのですが、私が試したの保管方法は3通り。
5つのうち2つをプラカップに水苔を入れたもの、もう2つを同じくプラカップに腐葉土と水苔を入れたもの。
生まれた直後であれば卵の上下は気にしなくても大丈夫なので、すぐに移し替えました。
(ただ数時間後には胚が形成されるので、そうなったときに胚が下になってしまうと育たない可能性があります。)
そして最後の1つは、産卵された場所にそのままという3通りの保管方法を試すことにしました。
こちらは卵が乾燥しないように、周りの土を湿らせながら管理していきます。
プラカップの床材は常に濡れている必要があるので、『ビチョビチョではないけど、しっかり濡れている』というぐらいで管理。
目安としては、プラカップをバスキングライトの上やパネルヒーターなどで保温(30℃前後が目安)した時に、プラカップのフタや側面に水滴ができるくらいです。
(一時的であれば、卵に水がかかったり、卵が結露しても問題ありません。)
またプラカップには空気穴を開けて、酸素が入るようにもしておきます。
カナヘビの卵の変化
次に卵の変化について見ていきましょう。
産卵から1週間後のカナヘビの卵の様子がこちら。
産卵直後より大きくなってきています。
これはカナヘビの卵が水を吸って大きくなっているためです。
爬虫類の卵は水を吸って大きくなっていくものがほとんどなのですが、カナヘビもこれにあたります。
ある論文では、カナヘビの卵は初日に50ミリもの水分を吸収したのち、それ以降毎日10~20ミリずつ水を吸収していくということが書かれていました。
このことを踏まえると、自然に蒸発する分も考慮して『3日に1度、約50ミリの水を補給』していけば、水分は足りる計算になります。
(実際は目で確認しながら調整はしましょう)
水を補給しながら温めていくこと約20日。
産卵時と比べると卵は倍くらいの大きさになりました。
重量ベースではありますが、産卵時の卵の重さから約5倍の重さになると孵化となるそうです。
こちらは産卵から約30日後。
卵に黄色い色が付いています。
どうも水苔の色が卵に写ったように見えます。
生理的な現象の可能性もありますが、結果的に卵の表面に色がついた卵でもカナヘビの赤ちゃんは生まれてきました。
そしてこちらが孵化直前のカナヘビの卵。
卵に黒いシミのようなものが現れ、それが日に日に大きくなっていきました。
卵の殻が引き延ばされたことで中の液体が染みているのか、殻そのものが薄くなっているのか、正解は分かりませんが、孵化の前兆の1つと捉えても良いのかもしれません。
卵の有精卵・無精卵
卵が有精卵であるか無精卵であるかは、卵を育てていくうえで重要な情報となります。
これを確認するために、キャンドリングという方法を試しました。
(キャンドリングとは強い光を卵に当てて、卵の中の影を確認する方法です。)
光はスマートフォンのLEDライトで十分で、この上にアルミホイルを置き、転がらないようにして検卵してみました。
このように赤く光ると『有精卵』。
つまり、卵の中にカナヘビがいるということです。
タイミングが良ければ15日ほどでも、中のカナヘビが動くのを見ることができます。
一方、無精卵の場合は卵が黄色く光ります。
おそらく、血液が流れていないことや、卵黄などの内容物が無いことに起因しているのではないかと思います。
一通りの卵をキャンドリングしてみた結果、水苔で管理している2つの卵は有精卵、腐葉土で管理している2つの卵は、1つが有精卵で、1つは無精卵でした。
ちなみに、産卵したままの状態で管理していた卵は、10日ほどで凹んでしまい成長しなくなりました。
カナヘビの卵にカビ
産卵から32日が経過した段階で、無精卵だった卵にカビが生え始めました。
やや黒ずんで、しぼんでいるように見えます。
早い段階で無精卵ということが分かっていましたが、30日以上は通常と同じ見た目を維持したことになります。
カビが生えた卵は、環境悪化を招く恐れがあるので、気付いた段階ですぐに破棄したほうが良いでしょう。
また時を同じくして、有精卵であった水苔の卵の1つもしぼみ始めてしまいました。
もう1つの卵は問題が無く孵化までたどり着いたため、同じ環境でも個体に差が生じるようです。
カナヘビの胎動
孵化直前の卵をキャンドリングしてみました。
上が頭で右が体、そして矢印の部分が卵黄と言われる、カナヘビの赤ちゃんが栄養を貰っている袋(卵黄)だと考えられます。
ここまで大きくなっていると激しい胎動は確認できませんが、片足をバタバタさせる様子は確認することができました。
これで孵化2日前の様子となります。
カナヘビの孵化
カナヘビの卵の孵化は、まず水滴ができるところから始まります。
これは卵の殻が破け、中の水分が出てきていることが原因です。
活発な個体であれば、そのまま頭まで出てくることもあるでしょうし、この状態から長く時間がかかることもあります。
その後、体が出てきて、
最後に尻尾が抜けると、孵化が終わります。
たまに、お腹に栄養を貰う袋(へその緒のようなもの)が付いたまま出てきてしまう子もいますが、
普通に歩いていれば外れるので心配ありません。
生まれたばかりの赤ちゃんの様子を見て、
- 機敏に動いているかどうか。
- 目を開けているかどうか。
- 四肢の指が全てあるかどうか。
などの健康状態をチェックしてください。
特にカナヘビの場合は弱っていると目を開けませんので、目が開いているかどうかは重要なチェック項目です。
赤ちゃんカナヘビは、生まれてすぐには餌を食べません。
おそらく卵の中で栄養を蓄えてきているからと考えられます。
まずは卵を管理していたプラカップの中で保温しながら、結露した水を飲んでいれば大丈夫です。
そして生まれて24時間~48時間の間に、小さいイエコオロギや小さい蜘蛛、または青虫などを食べ始めれば問題なし。
48時間経過しても食べている気配が無ければ(お腹が膨らんでいないなど)、強制給餌をしながら、捕食できるようになるのを待ちましょう。
カナヘビの卵を孵化させるのに大切なこと
私が体験したカナヘビの孵化に関することは、一通り説明させていただきました。
ポイントで大切なことをまとめると、以下の通りです。
- 産卵直後は卵の上下は気にしなくても大丈夫。
- 数時間後に胚ができるので、その後は上下固定。
- 30度を目安に結露するくらいの環境で管理する。
- キャンドリングは10日以降の結果で判断。
- 卵表面の白いホコリ状のカビは、環境のせいによる場合もある。
- 明らかなカビ・卵のしぼみは育たない。
- 卵表面の色の変化は、外的要因か孵化の前兆。
- 生まれて24時間は水。48時間までには餌を給餌。
カナヘビの卵が孵化するまでは、35日前後から長くて45日ほどかかりますが、50日を経過しても孵化しない場合は、途中で問題が起きた可能性も考えられます。
その際はキャンドリングをして、僅かでも胎動が確認できるかどうか確認したほうが良いでしょう。
気になってしまうでしょうが、絶対に強制ハッチ(卵の殻を破る)ことはしてはいけません。
もしも育っている途中のカナヘビが中にいた場合、高確率で死なせることになってしまうためです。
続いては、カナヘビの赤ちゃんの育て方についてご紹介していきたいと思います。